
このギタリスト・シリーズも16人目!
今後もこのギタリスト・シリーズを書いて行く上で、どうしても避けて通れないギタリストの一人でもあり、ことあるごとに引き合いにでてくるのがエリック・クラプトンである。
いままで、読んでいただいた方にはお気づきのことと思うが、いかにロック・ギター史上において、エリック・クラプトンが重要であるか充分に認識していただいたはず。
前回はエリック・クラプトンの人間像に迫ったが、改めてギタリスト、エリック・クラプトンにスポットを当てる。
ヤード・バーズ、
ジョン・メイオール&ブルース・ブレイカーズ、
クリーム、
ブラインド・フェイス、ソロ活動と、クラプトンの歴史こそがロックの歴史であるといっても過言ではない。

エリック・クラプトン(Eric Patrick Clapton CBE)は、1945年3月30日英国イングランド、サリー州リプリーで生を受けた。
14歳の頃、ギターを始めた。
最初のギターは、祖父母からプレゼントされたケイのセミアコのエレクトリックだったそうである。

すべてレコードからの独学で、
チャック・ベリー、
バディ・ホリーに影響を受けた。
1962年、キングストン美術学校に入学。
ここで、友人からの薦めでデルタ・ブルース・スタイルと出逢う。
ビッグ・ビル・ブルーンジー、
マディ・ウォーターズ、
チャーリー・パットン、
タンバ・レッドに大きな影響を受け、スライド・ギターの
ブラインド・ウィリー・ジョンソンにも影響された。
さらに、
バディ・ガイ、
オーティス・ラッシュ、
B.B.キング、
アルバート・キング、
フレディ・キングなどのコンテンポラリー・ブルース・アーティストなどにも目覚めていく。
そんななかで、エリック・クラプトンが最も刺激を受けたのが、
ロバート・ジョンソン『
King of The Delta Blues Singer(Vol.1~2)』の2枚のアルバムで、今でも彼のフェイバリット・アルバムだという。
「あの2枚には、僕が望んでいたものがすべて入っているんだ。表現法、あるいは表現されるべき感情、すべてが詰め込まれているんだ」(エリック・クラプトン談)

実際、“Remblin' On My Mind”(初のリード・ヴォーカル曲)、“
Crossroads”、『Unplugged』収録の“Walkin'Blues”は、
ロバート・ジョンソンのカヴァー曲だ。
他に初期のエリック・クラプトンが好んで聴いたアルバムを列挙してみよう。
●ブラインド・ウィリー・ジョンソン『Blind Willie Johnson - His Story』
●
レイ・チャールズ『live at Newport』
●B.B.キング『Live at the Regal』
●マディ・ウォーターズ『The Best of Muddy Waters』
●
ジミー・リード『Rockin' with Reed』
●チャック・ベリー『One dozen Berrys』
1970年代に入るとカントリーやレゲエなどにも傾倒し、
JJ.ケイルの“After Midnight”、“Cocaine”のカヴァーや、
ボブ・マーレイの“I Shot the Sheriff ”はあまりにも有名だ。
「一時はブルースってのが俺たちの間にあった。いまでもプレイさせたら彼の方が上だな。だって彼はいまも勉強しているし、それに忠実だもの。」(
ジェフ・ベック談)

このように多くのブルース・ギタリストたちから洗礼を受けたエリック・クラプトンのギター・スタイルは、マイナー・ペンタトニックを基盤とした情感豊かな
チョーキングと
ヴィブラートのオーソドックスなものであるが、これが以後のロック・ギターの先駆だったと考えれば重要な意味を持つ。
トーンの使い方も特徴的で、ブルース・ブレイカーズ、クリーム時代はフロントPUを使いトーン・コントロールをまったく上げないでソロを弾いていた。
これがいわゆる“ウーマン・トーン”である。
デレク&ザ・ドミノス時代は、ストラトのリアPUサウンドを好んだ。
ヤード・バーズの頃のメイン・ギターは、テレキャスター。
ブルース・ブレイカーズでは、50年代初期のギブソン・レスポール・スタンダードを使い、彼の影響でレスポールの注文が増大し、値段も跳ね上がったとされる。
クリーム時代は、60年代初期のギブソンSG。
1969年、デラニー&ボディのメンバーになった頃、“
ブラッキー”というニック・ネームを持つフェンダー・ストラトキャスターを使っていたが、これは彼がアメリカで買った3本のストラトのパーツを一本に組み込んで作ったものである。
実はこの頃、彼は友人の
ジミヘンにプレゼントするために楽器店に立ち寄るたびに程度のいいストラトを購入していた。しかし、買いだめたギターを渡すことなくジミヘンはこの世を去ってしまう。
この“ブラッキー”が、ギター破壊パフォーマンスのジミヘンのためにストックしてあったギターを組み合わせたものであるとの説もあり、2004年6月24日に開催されたオークションではおよそ1億520万円の値がつき話題となった。

エリック・クラプトンは、むろん他にも数多くのギターを使っていたが、ギブソンではES-335、ファイアーバード、バードランド。ローランドGR-505。
58年製エクスプローラー、60年製レスポール・スタンダードは特にお気に入りで、必ずツアーにお供しているといわれる。
アコースティックはマーチンD-28や、サンタ・クルーズ、マーチンのネックをつけたウッド・ボディのドブロ、ゼマイティスの12弦、ナイロン弦のギブソン・チェット・アトキンス・モデルなどが有名だ。
ピックはアーニー・ボールのヘヴィ。
弦もアーニー・ボール「.010 .013 .017 .026 .036 .046」のゲージ。
スライドには、ミデアム・ウェイトのガラス・チューブを使う。
最初のアンプは、ヴォックスで、ヤード・バーズまで使っていた。
ブルース・ブレイカーズの頃、マーシャル“1962”45Wの2×12コンボに変わった。
ビートルズとのセッションにもこれを使用。
クリーム時代のマーシャルは、100Wのヘッド2台と4×12のスピーカー・キャビネット4台に変わった。
70年代はフェンダー・デュアル・ショーマン、ミュージックマンの130シリーズ・コンボ、150シリーズのヘッド。
80年代中期以降、マーシャルJCM-800の50Wヘッドを使用。

ギターを直接アンプにプラグ・インすることを好むクラプトンだが、クリーム時代にはヴォックスのワウ・ペダルや、80年代初期にはアイバニーズのUE-405マルチ・エフェクト・ユニットを使用。
アルバム『Behind The Sun』の製作中、
スティーブ・ルカサーのエフェクト・ラックに魅了され、
ボブ・ブラッドショウに自分のためのシステム・ラックを特注した。
内容は、アイバニーズのハーモニック・ディレイ、dbx160コンプレッサー、ローランドSDE-3000デジタル・ディレイ、トライのステレオ・コーラス、ボスのCE-1コーラス、HM-2へヴィ・メタル、ダンロップのクライ・ベビーなど。
同時にこの頃、ローランドGR-700ギター・シンセを使い始めた。
エリック・クラプトンほど、ブルースを敬愛し、普及に務めた白人ギタリストはいない。
「ほとんどの人が、俺はもうブルース・ギターを弾いていないっていってるけど、それはデマだと祈るね。だって、俺からブルースをとってしまったら……、いやブルースを上手くプレイしているかどうかが俺には一番大事なんだぜ」(エリック・クラプトン談)

ブルースを愛してやまない彼が、その精神をロックと融合させた偉業はロック史上重要な出来事の一つである。
そして、62歳にしていまだ現役を貫くエリック・クラプトンこそ、“生けるロック史”である!
●Eric Clapton Shows Some Guitar Skills●Rolling Stones Circus●While My Guitar Gently Weeps - George Harrison●Eric Clapton - Cocain●Eric Clapton Band "Bad Love"●Phil Collins & Eric Clapton I shot the sheriff●Eric Clapton & Mark Knopfler - Wonderful Tonight●Eric Clapton and Sheryl Crow - My Favorite Mistake●Bob Dylan & Eric Clapton - Don't Think Twice, It's Alright●Roger Waters & Eric Clapton - Wish you were Here●George Harrison and Eric Clapton interview (part 3)Blog Ranking
←Click! We Love “ROCK”!! テーマ:YouTube動画 - ジャンル:音楽
- 2007/06/19(火) 16:11:42|
- 大人のロック。
-
| トラックバック:0
-
| コメント:11
クラプトン最後のコンサートといわれた7年位前に見に行きましたよ。
大人のロックでしたね。
- 2007/06/20(水) 01:57:12 |
- URL |
- 足屋のおネエ #-
- [ 編集]
足屋のおネエさん
>クラプトン最後のコンサートといわれた7年位前に見に行きましたよ。
大人のロックでしたね。
おお、おネエさんがこちらにいらっしゃるとは夢にも思いませんでした(笑)
いらっしゃいませ~。
クラプトンは何度となく、これで最後と来日します。
公演以外でも、親日家でしょっちゅうお忍びで来日しているんですよ。
服とかスニーカーとか買いまくり、トンカツ食ってプライド観戦して帰るようです(笑)。
- 2007/06/20(水) 17:58:29 |
- URL |
- noodles2 #-
- [ 編集]
チャオ!
以前にもお話したかもしれませんけど
私は彼の初来日の時
「最初で最後の来日!」だというので、高校生の分際で
バンドやってる先輩とか、友達などと一緒に
徹夜してチケット取りました。
しかしその後、毎年のように来日してた彼……。
あ~~。
- 2007/06/20(水) 20:32:36 |
- URL |
- meneater #-
- [ 編集]
meneaterさん
>チャオ!
以前にもお話したかもしれませんけど
私は彼の初来日の時
「最初で最後の来日!」だというので、高校生の分際で
バンドやってる先輩とか、友達などと一緒に
徹夜してチケット取りました。
しかしその後、毎年のように来日してた彼……。
あ~~。
笑。
ウィキペデアによると・・・
====20世紀末頃から何度かあった「来日は今回が最後」発言についても、「『最後』という言葉を使うと、客が沢山入ると思った。」という、本人のインタビューでの回答があったことから、ツアーを続けていることへの「言い訳」とも、単なる「ジョーク」ともいわれている。「『大規模な』ツアーは最後になる」と言っただけであったが世界中のメディアが屈解して報道してしまったのが真実である。====
ってなことのようです。
- 2007/06/21(木) 15:25:01 |
- URL |
- noodles2 #-
- [ 編集]
動画をいくつか拝見しましたが、やはりクラプトンは
上手いですね~。
シンプルだけど凄く存在感があります。
音も気持ち良いですし、学ぶべき点がたくさん
ありますね・・・。
しかしクラプトンがボブ・ブラッドショウにラックの
発注をしていたとは意外でした!
PS:いつも弊サイトにリンク頂きありがとうございます。
- 2007/06/21(木) 22:17:51 |
- URL |
- カブリエル #RDRaKwtQ
- [ 編集]
これで最後って言っちゃうのは、「一期一会」の心なのかも。日本通の彼ならでは?(笑)
アンプラグド以降、チケット取りづらくなって、私も子どもが出来て夜出歩けなくなってしまい、長らくクラプトン様のご尊顔を拝しておりません。また見に行きたいですね~。
(でも、密かに私が見たいのはスティーヴ・ウィンウッドとの夢のコラボなんですが、実現しないだろうな~。)
それにしても、若い頃のクラプトンは目がドロンとしてて怖い。。。
- 2007/06/21(木) 23:13:56 |
- URL |
- てんてん #-
- [ 編集]
てんてんさん
>これで最後って言っちゃうのは、「一期一会」の心なのかも。日本通の彼ならでは?(笑)
ロックの歴史を担う大物が、親日家であるのは嬉しいですね♪
>アンプラグド以降、チケット取りづらくなって、私も子どもが出来て夜出歩けなくなってしまい、長らくクラプトン様のご尊顔を拝しておりません。また見に行きたいですね~。
(でも、密かに私が見たいのはスティーヴ・ウィンウッドとの夢のコラボなんですが、実現しないだろうな~。)
おお、上から5枚目画像のブラインド・フェイスをご存知とは!
しかも、スティーヴ・ウィンウッドを名指しするとは!!
僕もスティーヴ・ウィンウッド大好きです。
確か80年代にソロ・アルバムを出していて、よく愛聴しました♪
>それにしても、若い頃のクラプトンは目がドロンとしてて怖い。。。
よくぞ、そこに気付かれました!
トップの最近の顔と、2枚目のヤード・バーズ初期の彼の顔だけがまともです。
あとは、ラリラリ人生だったということですな(笑)。。。
- 2007/06/22(金) 11:24:27 |
- URL |
- noodles2 #-
- [ 編集]
ガブリエルさん
>動画をいくつか拝見しましたが、やはりクラプトンは
上手いですね~。
シンプルだけど凄く存在感があります。
音も気持ち良いですし、学ぶべき点がたくさん
ありますね・・・。
当時で、ジミー・ペイジでもベックでもない、オリジナルなオーラですね。
クラプトン含め、この3人が今のシーンを築いたといっても過言ではないですね!
勿論、ジミヘンもですが、存在していませんからね。。。
>しかしクラプトンがボブ・ブラッドショウにラックの
発注をしていたとは意外でした!
ね! 笑えます。
>PS:いつも弊サイトにリンク頂きありがとうございます。
とんでもない!
互いの目標のため。
しばし、頑張りましょう!!
- 2007/06/23(土) 00:06:03 |
- URL |
- noodles2 #-
- [ 編集]
いつもながらとても勉強させていただいてます。
>ローランドGR-700ギター・シンセを使い始めた。
知りませんでした。
彼とギター・シンセというのはなかなか結びつかないですね。
90年代以降の彼のプレイはあまり知らないのですが、
自分がそれと知らずに聴いてたりするのかな・・・。
- 2007/07/15(日) 14:29:42 |
- URL |
- Penguinland #-
- [ 編集]
penguinlandさん
>いつもながらとても勉強させていただいてます。
>>ローランドGR-700ギター・シンセを使い始めた。
知りませんでした。
彼とギター・シンセというのはなかなか結びつかないですね。
90年代以降の彼のプレイはあまり知らないのですが、
自分がそれと知らずに聴いてたりするのかな・・・。
藤原ヒロシあたりと、かなりつるんでいるそうで、僕らの想像以上に新しいものへの眼があるのかも知れません。
- 2007/07/24(火) 11:18:20 |
- URL |
- noodles2 #-
- [ 編集]