
ぶれない独楽。
モーターヘッドこそ、33年にわたってぶれずに回り続ける独楽そのものだ。
無論、バンドの全盛期は1980年代前半である。
人気・商業面での浮き沈みも当然あったわけで、それでも時代に媚びず、頑にモーターヘッド・サウンドを表現し続ける。
2008年1月から制作が開始された今回の『
モータライザー/Motörizer』は、06年『キッス・オブ・デス/Kiss of Death』以来2年ぶりの新作である。
モーターヘッド Motorhead / モータライザー (日本盤CD)現メンバーは、レミー・キルミスター(V&B)、フィル・キャンベル(G)、ミッキー・ディー(D)。

プロデューサーは今回で3度目の起用になる、キャメロン・ウェブ。
録音中、ミッキー・ディーに「最低だ。やり直し」と平然と駄目出し。
ギターのフィル・キャンベルはスタジオ初日に、キャメロンに向かってギターを投げつけ、出て行ったとか。
ミスター・モターヘッドであるレミー・キルミスターは、そうしたキャメロン・ウェブの、メンバーを発奮させるプロデュース手法を高く評価しているようだ。
そうやって自らの音楽性をどこまでも疾走させる、モーターヘッド・サウンドは今回も健在である。
一聴では粗野に感じるサウンドは、聴けば聴くほどに緻密で確かなテクニックの上に成立するスピード感であることに気づくし、その歌詞は非常にメッセージ性の高いものだ。
もっと謙虚になれよ
何様だと思っているんだ?
オンボロの中古車に乗った
ちっぽけな町の道化師に過ぎないんだ
(ティーチ・ユー・ハウ・トゥ・シング・ザ・ブルースより。対訳:国田ジンジャー)表題の『モータライザー/Motörizer』は、直訳すると「自動車化する」という意味だそうだが、このアルバムを聴けば嫌なことを忘れ、図らずもヘッドバンキングしてしまうだろう。鬱屈した心情を吹っ飛ばすべく自らのアクセルを全開にしたくなるはずだ。
そう、まんまと聴く者をモータライズしてしまうのだ。
それほどにこの疾走感はポジティブである。

モーターヘッド、いやレミーのロックに、迷い、疎外感、コンプレックスなど微塵もない。
そして聴く僕らも無条件で迷い、疎外感、コンプレックスを消失せしめるのだ。
だからモーターヘッドは、ぶれずに回り続ける独楽で居続ける!
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Motörhead公式HP●『モータライザー/Motörizer』をチェック!
01. ラナラウンド・マン/RUNAROUND MAN 02.ティーチ・ユー・ハウ・トゥ・シング・ザ・ブルーズ/ TEACH YOU HOW TO SING THE BLUES03. ホエン・ジ・イーグル・スクリームス/WHEN THE EAGLE SCREAMS04. ロック・アウト/ROCK OUT05. ワン・ショート・ライフ/ONE SHORT LIFE06. バリード・アライヴ/BURIED ALIVE07. イングリッシュ・ローズ/ENGLISH ROSE08. バック・オン・ザ・チェイン/BACK ON THE CHAIN09. ヒーローズ/HEROES10. タイム・イズ・ライト/TIME IS RIGHT11. ザ・サウザンド・ネームズ・オヴ・ゴッド/THE THOUSAND NAMES OF GOD
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- 2008/10/21(火) 19:59:45|
- 大人のロック。
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