昨年からの往年のロックバンド、新作リリース・ラッシュ。
このクラシック・ロック・ムーヴメントとも呼ばれる状況を、“ ぶれない独楽 ” に例えながら、それらの新作の真偽を、牛歩ながらレビューし続けているわけですが、かねてよりお伝えしていたガンズ・アンド・ローゼズの新作が11月22日、遂に登場しました!
Guns 'N Roses / チャイニーズ・デモクラシー GUNS N' ROSES『チャイニーズ・デモクラシー/CHINESE DEMOCRACY』。
01.
Chinese Democracy 02.
Shackler's Revenge 03.
Better 04.
Street Of Dreams 05.
If The World 06.
There Was A Time 07.
Catcher N' The Rye 08.
Scraped 09.
Riad N' The Bedouins 10.
Sorry 11.
I.R.S. 12.
Madagascar 13.
This I Love 14.
Prostitute 全世界初回出荷は400万枚を超え、日本でのオリコン・ランキング、アルバムTOP100では、12/1日付で初動5.8万枚をセールス。赤丸3位。
同オリコン輸入盤、総合洋楽、国内盤ランキング共に1位獲得。
因に同様に初登場3位を記録した
AC/DC『BLACK ICE』 の初動が、1.9万枚だったことを考えると、今作がいかに待望されていたかがわかるというもの。
オリジナル・アルバムとしては17年ぶり。
今作のレコーディング開始は1994年。実に14年の歳月と14億円とも噂される制作費が投じられたという。
さらに水面に浮かんでは消える泡のように、発売が噂され、断ち消え、アルバム名のみが独り歩きするという状況が続いてきた。
思えば、ガンズの栄光は短かった。
今作を除けば、アルバム数はたったの5枚。
・
1987年 Appetite For Destruction (アペタイト・フォー・ディスクトラクション) アペタイト・フォー・ディストラクション/ガンズ・アンド・ローゼズ[SHM-CD] ・
1988年 GN'R Lies (GN'R ライズ) ガンズ・アンド・ローゼズ/GN’Rライズ ・
1991年 Use Your Illusion I (ユーズ・ユア・イリュージョン1) Guns N' Roses / Use Your Illusion 1 ・
1991年 Use Your Illusion II (ユーズ・ユア・イリュージョン2) Guns N' Roses / Use Your Illusion 2 ・
1993年 The Spaghetti Incident? (ザ・スパゲティ・インシデント?) ザ・スパゲティ・インシデント?/ガンズ・アンド・ローゼズ[CD] あれから、約17年の時を経て今作は発表されたわけである。
そんな経緯から、自ずとファースト・アルバムでありながら至上の傑作となった『Appetite For Destruction』のような疾走感を期待しながら、CDを回すことになる。
しかし、そこには80〜90年代のようなギター・リフ中心のガンズは存在しない。
既にご承知のように、現在のガンズはアクセル・ローズ独りである。
ブルージーでヘヴィ・メタリカルな、スラッシュのギターの代わりに、アクセル・ローズという杞憂のロック・ジャンル一色で埋め尽くされている。
以前にも書いたがガンズはアクセルであり、アクセルがガンズというロック・ジャンルを表出している。
かつてはその固有のジャンルに、スラッシュのギターが添えられることで、80〜90年代初頭のヘヴィ・メタル・ムーヴメントの一因となされていた。と僕は思っている。
それがいまや、年間にして1億円の巨費をつぎ込みながら14年間継続してきた独りガンズ、いやアクセル=ガンズが、独り歩きしている状況なのだ。
詰まり、まだまだガンズというの名のアクセルのロックは進化の途中なのである。
そんなわけで今作を一聴すると、各楽曲にまとまりがなく散漫に感じてしまうかもしれない。それは前述の通り、ヘヴィ・メタルという衣装を纏わない裸のアクセル・ローズのソロ・アルバムだと思えば、そのアプローチに異空の意味が浮上してくる。
かつての、バンドとしてのガンズ・アンド・ローゼズの短い活動期間から、17年が移ろったことを考慮すれば、今作におけるガンズの進化は当然であり、僕らの思惑を根底からひっくり返す楽曲群の個性が、俄然輝きを放つ。
クラシック・ロック・ムーヴメントという潮流に乗せて輸送されてくる、新作という名の仮面をつけた往年のセルフ・カヴァー的なロック(お約束のロック)は、そこには一かけらも存在しない。
既に風化した侘び寂びを尊ぶこの国の仏像ブームと、ガンズの17年の進化を混同してはいけない。
例えばタイの寺院に、常にピカピカに修復されながら現在も輝き続ける仏陀像こそ進化し続ける仏教の歴史を象徴しており、ガンズのそれも同じステータスなのだ。
だから、AC/DCのような繁栄時代に築いたスタイルで回り続ける “ ぶれない独楽 ” ではなく、自らのロックであるガンズを、現在進行形で回し続ける(崩し続ける)、アクセルという “ ぶれない独楽 ” を、僕は膝を正して迎え入れたい。
●
GUNS N' ROSES公式HP ●過去のガンズ関連記事。
・『
ガンズ・アンド・ローゼズ/大人になれないオヤジのロック46。 』
・『
スラッシュ(ガンズ・アンド・ローゼス)/大人のギタリスト講座10。 』
・『
大人のための、最新ロック情報! 』
・『
スラッシュ/大人のための、最新ロック情報2。 』
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2008/11/28(金) 19:16:01 |
大人のロック。
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先月22日。
遂に、AC/DC15枚目のオリジナル・アルバム『悪魔の氷/Black Ice』発売!
結成35年。
全世界に1億4千万枚のアルバムを売り上げ、いまだに年間100万枚の旧作が売れ続けるワールド・フェイマス・ビッグ・バンドAC/DCの8年ぶりの新譜。
発売と同時に英米1位。
オリコン・アルバムTOP100でも3位。同総合洋楽1位。輸入盤2位、国内盤1位獲得。
01.
暴走/列車 / Rock N Roll Train 02.
空が燃えている / Skies On Fire 03.
爆弾ジャック / Big Jack 04.
恋の発電所 / Anything Goes 05.
戦闘マシーン / War Machine 06.
ぶち壊せ!! / Smash N Grab 07.
ロック大戦争 / Spoilin’ For a Fight 08.
地獄の回転花火 / Wheels 09.
愛のデシベル / Decibel 10.
イナズマの五月 / Stormy May Day 11.
殺し文句はロックン・ロール / She Likes Rock N Roll 12.
金にはあきたぜ / Money Made 13.
ロックン・ロール・ドリーム / Rock N Roll Dream 14.
ロックで決めろ!! / Rocking All the Way 15.
悪魔の氷 / Black Ic 【日本盤だけ&初回盤のみ】ビート・クルセイダースによるAC/DCトリビア学校
【日本盤だけ】英詞付28Pフルカラー・ブックレット*
【日本盤だけ】対訳
【日本盤だけ】解説:伊藤政則/高見展
【日本盤だけ】バイオグラフィー
●現メンバー
アンガス・ヤング (Angus Young) リードギター
マルコム・ヤング (Malcolm Young) リズムギター
ブライアン・ジョンソン (Brian Johnson) ヴォーカル
フィル・ラッド (Phil Rudd) ドラム
クリフ・ウィリアムス (Cliff Williams) ベース
期待を胸に、もうワクワクしながら、我がMac miniにCDを滑り込ませました。
第一印象は「全部同じに聴こえる♪」だった。
否定的な意味じゃなく、♪をつけた理由はですね。最初は1つひとつの楽曲が、粒だって聴こえてこないほうが、僕には当たりってことなんです。
だから、もう何度も繰り返し聴き込むわけ。それでも相変わらず「全部同じに聴こえる♪」。この一見虚しい行為が最高に快感なのです。
何故なら僕には変なクセというか欠点があり、ある瞬間からスイッチを入れたように、それぞれの楽曲のディテールが、まるで遮幕を外したようにくっきりと際立ち、津波のように悩にインプットされはじめるのです。
かつては、
デフ・レパード の『Pyromania』がそうだったし、最近だと
クイーン+ポール・ロジャース の『ザ・コスモス・ロックス(the cosmos rocks)』などが同例で、そうなるともう大好きなアルバムになるわけです。
だから、逆に一発目で見えちゃうのは駄目なんです。J-POPとか。
すぐ飽きるから。
ついでに告ると、「
マイケル・シェンカー『In The Midst of Beauty』/大人のための最新ロック情報7。 」で、少々酷評したのは、更新を急ぎスイッチが入らないまま記事を書いたせいです。後日めでたくスイッチ・オンし、いまでは一日一回必聴盤になってます。(ごめん)
ってことで、AC/DC『悪魔の氷/Black Ice』も、発売から3週間で無事スイッチ・オン。
遅まきながら今作が、『地獄のハイウェイ』『バック・イン・ブラック』並の最高傑作と評されている意味を、いま僕も噛みしめているところです♪
(CD)AC/DC/地獄のハイウェイ (CD)AC/DC/バック・イン・ブラック だから、もし皆さんも一聴しただけで、「なんや、相変わらずやがな〜」と、(なんで大阪弁なのかわかりませんが)落胆しないで下さい。大きな損をします。
因に発見したのですが、10曲目 “ イナズマの五月 / Stormy May Day ” では、話題の100円ライターを使ったアンガス初のスライド・ギターが聴けるのだが、このリフがツェッペリンの “
In My Time Of Dying (フィジカル・グラフィティ収録) ” をリスペクトしており、実に微笑ましい。
心配していたブライアンの声も健在。
今作は8年に渡るブランク中、5年の歳月をかけソング・ライティング。レコーディングはわずか6週間だったそうだが、今回プロデューサーのブレンダン・オブライエンは、メンバーが1曲録り終えると同スタジオの別室でブライアンがその曲にヴォーカルを入れるという計らいをしたそうです。
以前はメンバーが7〜8曲録音して、ブライアンもぶっ続けでヴォーカルを入れてと咽を酷使するやり方だったそうで、一転。今回は実に充実したヴォーカル・パートに仕上がっている。
アルバムを通しで聴いていると、ステージでのアンガスのアクティブなパフォーマンスや、マルコムの不動のポール・ポジションが見えるようです! 最高〜♪
既に
ワールド・ツアー がスタートしているようですが、来日決定が待ち遠しい。
35年間、正真正銘 “ ぶれない独楽 ” を体現してきたAC/DCは、ぴくりと揺らぎもせず、いまも回り続けているぜっ!!
AC/DC / BLACK ICE ●
AC/DC公式HP ●過去のAC/DC記事♪
・『
AC/DC/大人になれないオヤジのロック16。 』
・『
アンガス・ヤング(AC/DC)/大人のギタリスト講座8。 』
・『
ボン・スコット(AC/DC)/本日28回目の命日!!! 』
・『
AC/DC プラグ・ミー・イン! 』
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2008/11/14(金) 21:00:00 |
大人のロック。
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